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植物の鮮やかな彩りと抗酸化の関係

今回、JBAのコラムに寄稿する岩田です。
ブラックカラントに関するよもやま話を薬剤師の視点からお話します。

さて、山の緑や海の青など、生き生きと彩られた自然に人は癒されます。
人類の遺伝子には自然の恵みが命をつないでくれた長い歴史が刻み込まれていて、自然の彩りに触れると、その記憶がよみがえり癒されるのかもしれません。
私たちが日々口にする植物などの恵みは、癒しのなかでも特にありがたい物です。

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和食は、今や世界に誇る食文化のひとつとして平成25年にユネスコ世界無形文化遺産として登録されました。
和食の特徴として、「多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重」、「健康的な食生活を支える栄養バランス」、「自然の美しさや季節の移ろいの表現」、「正月などの年中行事との密接な関わり」の4つが挙げられています。
また、和食は目で食べるとも言われます。 彩り豊かな食材や美しい盛り付けを見るだけで、条件反射的に唾液があふれ食欲がわくのもうなずけますね。

そして、和食は四季折々の旬の食材を取り入れた健康的な食事という点でも定評があります。

旬の野菜や果物の彩

・カボチャやニンジンの黄色(カロテノイド)
・ホウレンソウやブロッコリーの(葉緑素)
・ナス、ムラサキイモやブドウの紫色(アントシアニン)
・トマトの赤色(リコピン)
・ダイコンやハクサイの白色(フラボノイド)

色鮮やかな野菜等にはそれぞれに自然の色素(カッコ内に記載)が含まれています。しかもこれらの色素はただ鮮やかで美しい外観だけではなく、様々な生理的な機能性を持つと言われています。

色素が生成される仕組み

植物は太陽光を浴び、光合成をしながら成長します。
この一方で太陽光により活性酸素が発生し、細胞が障害を受ける可能性があります。そのため、抗酸化物質を自ら作り、その効果により障害を自己防御しています。
その代表的な例がカロテノイド、アントシアニン、フラボノイドなどのポリフェノール類であり、植物独自の色素となります。

日本の長寿を支える彩り

酸素(空気)呼吸をする動物も体内で活性酸素が必ず発生しています。
しかし、動物は、植物と違って抗酸化物質を作る能力が低いため、活性酸素による障害を軽減するため、抗酸化物質を植物から摂取する必要があります。
多彩な色で生理的な機能性も高い食材をバランス良く食べる和食の伝統が日本人の長寿を支えているといっても過言ではありません。

ブラックカラントの濃紫色

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昨今、「抗酸化力」のある自然食品として「アサイー」や「カムカム」など、様々な植物がスーパーフードとして注目を集めていますが、「ブラックカラント(カシス)」もそのひとつとして多くの薬品、食品会社が注目しています。

ニュージーランド産ブラックカラント果実には4種のアントシアニンが豊富に含まれており、それぞれの色が混じりあった結果としてあの濃紫色になっています。
アントシアニンは同種の化学構造を持つ色素の総称で様々なアントシアニンがわずかな構造の違いによって赤、青、紫色などに発色し、野菜、果物や花を彩っています。

ブラックカラントのアントシアニンが健康促進に役立つ機能性を備えていることは、IBA(国際ブラックカラント協会)においても様々な研究発表がなされています。また、ブラックカラントの生の果実と、果実から作られたジュースや抽出したエキスなどにもほぼ同等のアントシアニンが含まれているという結果も得られています。

世界的に有名なカシスリキュール「クレーム・ド・カシス」だけでなく、日本人の日々の食卓に様々なかたちで「ブラックカラントの彩り」が加わり、さらに健康に役立つとよいですね。

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