vol.5
JBAよもやま話 No.1
今年も蒸し暑い日が続いていますね。このような季節には良く冷えたブラックカラントのジュースを飲むと、夏場のストレスで酸化されてしまった身体が少しはよみがえるような気がします。特に独特の色やキレの良い酸味がいかにも身体に良さそうですね。
みなさんはそのブラックカラントの生産地がどの辺りかご存知でしょうか?現在はヨーロッパ、ロシア、オセアニアなどが有名です。私たち日本人が口にするもののほとんどはそれらの地域から輸入されたものです。しかし、傷みやすいためか生果としてのブラックカラントは輸入されず、冷凍品や加工品の果実が輸入されています。ブルーベリーなどは生果としても販売されていますが、ブラックカラントは見かけませんね。私自身も生果としてのブラックカラントを口に出来る機会はほとんど有りません。残念なことです。国内の需要が今よりももっと高まり、国内生産が増加すれば、生果としてブラックカラントを口に出来る機会も増えるかもしれません。
日本で生産されているブラックカラントの生産量はいまだ十数トンで、青森県はその約6割を占め、国内では最大の産地となっています。収穫は7月頃に行われますので、今頃は収穫が完了し、栽培農家の方もホッとされたころでしょうか。収穫は一粒一粒の果実を大切に、心を込めて手摘みされるようです。手で摘みながら、たまにはそのまま味見をすることもあるでしょうね。そのような機会が有れば経験したいものです。飛び切り上等の味がすると思います。
さて、まだまだ一般の方には知られていませんが、つい最近「地理的表示」という制度の運用が開始されました。平成26年6月からです。この制度は大まかには、国の認定によって、特定の地域と結びつきの深い高品質な農林水産品を地域ブランド化し、ひいては産業の振興発展に寄与することを目指したものです。
この制度に基づき、なんと、青森県東青地域で生産されるブラックカラントが「あおもりカシス」として「地理的表示」に認定されているのです。平成29年7月末時点で「地理的表示」に認定された産品は全国でもまだわずか38品しかない貴重なものです。しかも、「神戸ビーフ」「夕張メロン」「三輪素麺」「市田柿」「下関ふく」「東根さくらんぼ」「万願寺甘とう」など、全国的に非常に有名な産品が認定を受けており、「あおもりカシス」も同列に扱われることになります。しかも、「あおもりカシス」がすべての産品のうちの第1号としての認定となっています。ブラックカラント生産者や関係者の方がたの意気込みと努力がうかがえますね。
今後は「地理的表示」も武器にしてブラックカラントの生産量や流通量も増やすこと、将来的には「地理的表示」に認定された日本の優れた産品として海外に輸出されることも期待したいと思います。なお、「地理表示」に認定された産品には認定マークとして、「GIマーク」をつけることが出来るので一般の産品とは明確に区別することが出来ます。