vol.11
アントシアニン豊富なサプリメント
(運動に対する有用性を示す研究)
はじめに
アスリートや運動を習慣としている人にとって、サプリメントは必要な栄養を補う上でとても重要な働きをします。サプリメントは、パフォーマンスの向上や運動後の体力回復の促進、さらには一人ひとりの体質に合った効率的なトレーニング方法を見出す、などの利点があります。
サプリメントの種類や効果は様々ですが、スポーツ用のサプリメントとして認知度の高いカフェインやクレアチンは、成分の配合が一種類のみであるため、特定のトレーニングに対してのみ効果が出るのが特徴とされています。
しかし最近では、一種類の成分のみ配合のカフェインやクレアチンに比べ、チェリーやベリーのように一種類以上の異なる成分を配合したサプリメントの方が、高い有用性を発揮する、ということが研究により明らかになってきています。
今回、私たちの大学では、アントシアニン豊富なニュージーランド産ブラックカラントから抽出されたパウダーとカプセルを用いて、運動において有用性があるのか実験をしました。
乳酸
ブラックカラントのパウダー摂取後に行ったサイクリングでは、体内の乳酸の値が変化する、という結果が出た。
ブランド名:Sujon
種類:パウダー
一日の摂取量:6g (アントシアニン量約110mg)
摂取日数:7日間
対象者:トライアスロン選手男女各一名ずつ
サイクリング
16.1kmのタイムトライアル競技で普段より体力が長持ちした、という結果が出た。
ブランド名:CurraNZ
種類:カプセル
一日の摂取量:6g (アントシアニン量約110mg)
摂取日数:7日間
対象者:サイクリング選手とトライアスロン選手男女合わせて14名
スプリント(短距離)
高強度のランニングを断続的に行うトレーニングで走行距離が伸びた、という結果が出た。
ブランド名:CurraNZ種類:カプセル
一日の摂取量:1日1カプセル(アントシアニン量約105mg)
摂取日数:7日間
対象者:運動を習慣とする男性13名
サイクリング
男女のサイクリング選手が3カプセル(900mg)を一気に摂取する。その後すぐに軽い運動を行ったところ、身体の動きが変化しパフォーマンスが向上した、という結果が出た。
ブランド名:CurraNZ
種類:カプセル
摂取量:3カプセル(アントシアニン量約315mg)を一気に摂取
対象者:サイクリング選手男女各数名ずつ
脂肪酸化
120分間のサイクリング(最大酸素量約65%)を7日間行い、その間ブラックカラントのカプセル摂取量を増量させると、同じく脂肪酸も増幅する、という結果が出た。
ブランド名:CurraNZ
種類:カプセル
摂取量:105、210、315mgの3つの異なる量のアントシアニン
摂取日数:7日間
大腿動脈
カプセル摂取後に適度な筋肉収縮(30%)を伴う運動を2分間し、その間に大腿動脈の反応を観察すると、直径幅が増強した、という結果が出た。
ブランド名:CurraNZ
種類:カプセル
一日の摂取量:1日2カプセル (約210mgのアントシアニン量)
摂取日数:7日間
脂肪酸
運動を習慣とする男性数名がカプセル摂取後、強度5メッツ*で30分間のウォーキングマシンを7日間(+11%)と14日間(+17%)の2パターン行った後、初日と比べ14日後の脂肪酸が強化された、という
結果が出た。
ブランド名:CurraNZ
種類:カプセル
一日の摂取量:1日2カプセル (約210mgのアントシアニン量)
摂取日数:7日間と14日間
対象者:運動を習慣とする男性数名
*メッツ(METs):運動強度の指標。ある運動・作業時のエネルギー消費量が安静座位時の消費量(酸素摂取量)と比較して何倍あるかを示す。
脂肪酸
運動を習慣とする女性数名がカプセル取得後、強度5メッツで30分間のウォーキングマシンを7日間(+25%)行った後、脂肪酸が強化された、という結果が出た。
ブランド名:CurraNZ
種類:カプセル 一日の摂取量:1日2カプセル(約210mgのアントシアニン量)
摂取日数:7日間
対象者:運動を習慣とする女性数名
結論
ニュージーランド産ブラックカラントのパウダーとカプセルを用いた研究は、運動に対して有用性を示すことが証明されました。この結果から今後は、ブラックカラントの適切な摂取量を明確化し、さらには体内の生理的機能や心血管、そして代謝の働きに対する研究も進めていきます。しかし現時点での研究結果から、アントシアニン豊富なサプリメントが運動において有用性を発揮する、と証明されたことは、革命的一歩といえるでしょう。
協力
Health Currency Ltd(イギリス)、CurraNZ(ニュージーランド)、Gibb Holdings (Nelson)(ニュージー
ランド)、ブラックカラントニュージーランド、チチェスター大学
